監督のことば

「生きたくても生きられなかったいのちの写真パネル展」に飾られた戦没者遺骨収集の写真に写る遺骨の一つ一つに、一人ひとりの人生があります。
当時、赤紙一枚で兵士として駆り出され、亡くなっていった人たちの多くは20代~30代でした。今の私よりもはるかに若い人たちばかりです。故郷には皆、家族を残しており、無念の死であったと思います。 
鈴木基之さんは、遺骨の語る「声なき声」の代弁者として20年以上にわたり、この写真パネル展を続けています。それは「お父さんと呼んだことがない」という戦争遺児としての「オヤジ達との約束」でした。これからの子どもたちに二度と同じような経験をさせないためにどうすれば良いのか? 戦争を知らない私たちは問われています。
この映画を通し、戦争で父を亡くした方々の想いを継承し、未来につないでいって頂ければ嬉しいです。

都鳥 伸也(監督)