
企画意図
人口9万人の地方都市・岩手県北上市。
その商店街の一角に、不登校・ひきこもり・ニートなどの生きづらさを抱えている人たちが気楽にふらっと立ち寄れる居場所『ワラタネスクエア』があります。
ワラタネスクエアは、「誰も排除しない、否定しない」をモットーに、生きづらさを抱えて居場所を探している人たちに、何かをしても、何もしなくても大丈夫な「ただ静かに座っているだけでも尊重され、自由にリラックスして過ごせる居場所」を提供しています。
そんなワラタネスクエアには、常に笑い声が響いています。
ワラタネスクエアを立ち上げた後藤誠子さんも不登校・ひきこもりを経験した息子を持つ一人の母親でした。数々の親子の衝突と葛藤を経験し、その状況をなんとかしようと、息子を責め、自身を責め、苦しんでいたと言います。
そんな後藤さんがこうした支援活動に取り組むようになったのは、「自分の子どもだからと今まで自分の思う通りにさせてきたけど、息子の気持ちは分かろうとしても分らない」ということに気が付いたことでした。息子と自分は違うのだと気が付いた後藤さんは、「自分の人生をちゃんと生きなくちゃ」と動き始めます。
「母や主婦という役割だけではなく、もっと価値のあることが出来るのではないか」と考えた後藤さんは、コミュニティFMで不登校やひきこもりについてのことを発信する番組を持つようになり、その後、様々な活動を経て、2019年7月、「笑いのたねプロジェクト」を立ち上げ、「不登校・ひきこもりの話を明るいところで」をキャッチコピーに活動をスタートしました。
後藤さんが自身の人生を大切にし始めると、徐々に息子にも変化が現れました。今は良好な関係を築いており、ワラタネスクエアの仕事を一緒に行っています。ワラタネスクエアには、後藤さんの息子の他にも生きづらさを抱えていた当事者の方々が働いています。
その様子は、これまでの社会にあった上下関係による「縦のつながり」ではなく、必要とされる人間同士がつながった上下関係のない「横のつながり」を感じさせます。こうした居場所を提供している後藤さんの活動は、まさに今、求められている「人に優しい社会」を作ろうとする試みです。
後藤さんとワラタネスクエアの活動に共感した私たちは、その活動をより多くの人に知っていただきたいと思い、ワラタネスクエアに集う人たちとワラタネスクエアの活動を追い駆けたドキュメンタリー映画を製作することを決意しました。


