若い世代の繊細な言葉や切なる表情に共感を覚える。元山さん、城間さん、中川さん、さらに、辺野古新基地建設に反対する人々への海保の暴力を記録する豊里さん。生まれたときから米軍基地が当然のように存在し、上の世代とのギャップを感じる彼らは、どのように「分断」を乗り越えようとしたのか。都鳥兄弟のまなざしは、静かで、深い。翁長県知事の生前最後の姿と志を引き継ごうとする若者たちの奮闘にこころが揺さぶられた。

永田 浩三(武蔵大学教授・ジャーナリスト

都鳥兄弟が、沖縄の“今”に我が事として真摯に向き合った。沖縄と本土、普天間移設の賛否、戦争と平和…。そのどちらかだけでは語り尽くせない問題に、そして互いの本音を言い合う事ができていなかった現実に、声を上げた沖縄の若者たちは揺れていた。異なる意見や、思想を持つ仲間や他世代とどう折り合いをつけ、向き合っていくのか。観賞中、この作品に不協和音を奏でていたのは、自分自身であるとハッと気づいた。

今井 友樹(ドキュメンタリー映画監督

沖縄は若者が平和と基地反対の運動の担い手になるだろう。彼らのキーワードは「対話」。翁長知事が口癖のように言っていた「反対と賛成で沖縄が割れた状態を高みの見物しているのは永田町だ。どうしたら沖縄が一つになれるのか?それは立場を超えた対話の道を探ること。基地に反対も賛成の人も同じテーブルに着くことから始めよう」と呼びかけていた。その翁長知事の思想をしっかり受け継いだ若者たちがデニー知事を産んだ選挙で台頭し、その後の県民投票の成功へとつながっていった。
既存の反基地の闘いを担ってきた大人たちはその動きをいぶかしげに見ていた。だが今では、若者の活躍を歓迎し、我が子、わが孫のことのように喜んでいる。
いま、沖縄の歴史は大きく変わろうとしている。そしてその大波は本土にも押し寄せている。このドキュメンタリーはその沖縄の変化の中で台頭してきた若者たちに焦点を当てている。希望が湧いてくる。

森住 卓(フォトジャーナリスト

沖縄から戻った翌々日、首里城炎上崩壊のニュース映像に茫然自失。県民の想い~~~日々刻々激動の2018年の沖縄の記録は「若者が若者に問う」新しい切口で、心の拠り所・首里城を失った県民や、沖縄に想いを寄せる人たちに一条の光として届けられた思いである。勿論「オットット双子の兄弟よ、そんな高所から決めつけ?」など老婆心とは言え、このクルーを支えてくれた沖縄の人たちの想いのバトンは繋がった。

嬉野 京子(報道写真家