増田 進(元・沢内病院長/緑陰診療所)

保健師は今、いわゆるアイデンティティを失っているように思う。
国や役所は便利な看護・福祉担当職としてのみ利用していないか。だから厳しいことを言えば、今は単なる行政末端の歯車のようにしかみえない。
「保健師とはなにか」その答えがこの映画の中に示されている。
貧困、多病、障害者……災害、環境破壊。社会のいろいろな状況の中で活躍する保健師。
自らのアンテナを持ち、自らのエンジンで動く保健師。その理想の姿がここにみてとれる。保健師頑張れ!

 堀内正美(俳優/「阪神淡路大震災1.17希望の灯り」理事)

保健師さんたちが戦後、経済成長していく過程において、大きな役割を担っていたことをはじめて知った。被災された方々の支援活動を通じ、自然災害、事件、事故など、「予知できない危機」と、来るべき少子高齢化という、「予知できる危機」が見えた。その危機を乗り越えるためにも、市民+保健師+行政の協働が不可欠であることを、この作品を拝見して、あらためて実感した。

 斎藤 環(精神科医)

日本独自の発展を遂げてきた職業・保健師。日頃は地域に密着して住民の健康を守る伴走者たちが、被災地の復興を陰で支えていた。この映画は、彼女たちの知られざる活動を丁寧に追っていく。強い使命感と連帯感で結ばれた彼女たちの無名の活動は、政治と制度の空隙を埋めるようにして、日本の今を支えながら、1000年後の未来へといのちをつないでいく。

 湯浅 誠(社会活動家)

保健師は地域住民とともにある、単に口うるさく健康管理を指導するだけの人ではない―――大災害が保健師の仕事の原点を改めて教えてくれると、この記録映画は語る。だが、保健師とまちづくりと聞いて、両者がスムーズに結びつく人がどれだけいるだろうかと考えると、心もとない。おそらく、保健師”魂”を守るために は「健康推進課◯◯」という肩書にまつわる“プライド”を捨てて、住民との協働に踏み込む必要があるのだろう。それは困難だが、きっと楽しい道だろう。

 鎌仲ひとみ(映像作家) 

昔は保健のおばちゃん、と呼んでいた保健師さん。
地域の健康を守るために、縁の下の力持ちのように働いている女性たちが、この震災以降、どう動いたのか。
津波に流され、犠牲となった仲間や被災地で心身の健康を守ろうと努力する仲間を訪ねる旅に、カメラはつつましく同行する。この旅の道行きで見えてくる新たなおばちゃんたちの役割、その仕事の本質。
地域全体を守ろうと原発に反対した勇気ある保健師さんもいた。
命を守る仕事は災害時にも、その後続く日常の中にもずっと続いていくことをカメラは見つめている。

 斎藤 純(作家/もりおか復興支援センター長)

東日本大震災は、その復興の過程で地域が抱えてきた課題や問題を顕在化させた。
一方、地域で人知れず活躍してきた人々にもスポットをあてることになった。保健婦(保健師)たちもそのひとりだ。
このドキュメンタリーを通して私たちはその活動について知見を広めるとともに、今後の未来の安心・安全・健康な暮らしについて改めて考えることになるだろう。
これは、決して他人事ではない。明日の私たちひとりひとりの問題だ。

 鈴木るり子(岩手看護短期大学/元・大槌町役場保健師) 

2011年3月11日津波が来ました。大事な人も財産も一飲みにして立ち去りました。
その後の人々に「あとは任せたよと言いながら」残された私たちは、ただ茫然と心を亡くしたようにその後を過ごしました。2日後に、我が家を見に行きました。寸断された道。瓦礫と化した街。私たちの暮らしはどこに消えたのか・・。会う人会う人に涙でぐちゃぐちゃになった目で会話するしかありませんでした。「良かった」「生きていてよかった」「ウンウン・・」声にならないうなずきだけの会話でした。「できることをしよう」「advocator、代弁者になろう」「大事な人に別れを告げることも許されず命を失った人々の・・」震災は誰にでも降りかかるとは言っても、1,400人の命はあまりにも尊く重いものでした。「待っていたよ」「やっぱり来てくれた」「来ると信じていた」住民の声に励まされ、保健師活動が続きました。
保健師はいつも住民から力をもらい活動してきました。この映画は、まさに保健師活動の原点を問いかけるものです。是非、上映会に足をお運びください。

 TAG3(IBC岩手放送『じゃじゃじゃTV』イラストレーター) 

“1000年後の未来へ”……いいタイトル! 秀逸です! エンディングテーマ“Manners of life”は監督自らが作詞。これはかなり珍しいことなのではないでしょうか? 歌詞に込められた監督のメッセージにも注目です。保健師さん達の貴重な証言で綴られたこの記録映画。一人でも多くの方にこの一言一言を聴いて、感じて、考えて頂きたいと思います。日々、人々の命を守り、心を支える仕事に尽力して頂いている保健師の方々に心より感謝致します。